2008年6月24日 星期二

ルパン三世 カリオストロの城



『ルパン三世 カリオストロの城』は、漫画家モンキー・パンチ原作の人気アニメ『ルパン三世』の劇場映画第2作で1979年12月15日に公開された。後にアニメ界を代表する演出家となる宮崎駿の初監督映画作品である。略称はカリ城。
目次
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* 1 概要
* 2 あらすじ
* 3 スタッフ
* 4 声の出演
* 5 評価
* 6 エピソード
* 7 本作品の魅力
* 8 ルブラン由来の物
* 9 旧ルパンからのアイデア
* 10 登場する武器・乗り物
o 10.1 乗り物
o 10.2 武器
* 11 VHS・DVD
o 11.1 日本国内
o 11.2 日本国外
* 12 その他
* 13 賞歴
* 14 関連作品
* 15 参考資料
* 16 脚注
* 17 関連項目

[編集] 概要

当初、東京ムービー新社は、鈴木清順ら『ルパン三世』TV第2シリーズ(通称:新ルパン)や『ルパン三世 ルパンVS複製人間』の脚本家チームが執筆した脚本を元に大塚康生へ監督を依頼していた。だが、気乗りしない大塚は、宮崎に監督就任を要請する。当時、宮崎は日本アニメーションで高畑勲らと『赤毛のアン』のレイアウト・場面設定をしていたが、これを降板して1979年5月に制作準備に取りかかる。後の作品と同様、宮崎は脚本なしでイメージボードと絵コンテを描き始め、脚本として共同名義の山崎晴哉が後でリライトした形になる。

劇中のルパン三世が着ているジャケットの色は、『ルパン三世』TV第1シリーズ(通称:旧ルパン)と同じ緑色で、当時のTV第2シリーズや前作映画『ルパンVS複製人間』が赤色ジャケットだったのと好対照だった。もともと大塚は旧ルパンの作画監督で、宮崎駿はシリーズ後半に演出を担当していた(高畑勲と共に「Aプロダクション演出グループ」の匿名)。そのため、宮崎や大塚がデザインしたキャラクターやメカ、イメージボードは旧ルパン、そして2人の趣味に準じていた。そうした方向性の違いは物語や演出、作画にも色濃く出ていた。

当初はさほどアニメマニアの間で注目されていたわけではなく、興行的には前作に及ばなかった。だが、公開後、テレビ放映や上映会でじわじわと人気を集めるようになり、1980年代を通してアニメマニアだけでなく一般層にまで支持を受けるにまで至った。宮崎の卓越した演出やレイアウトはその後のアニメ業界にも多大な影響を与えることとなる。本作を劇場版の『ルパン三世』、あるいは宮崎駿作品の最高傑作として挙げる人は少なくない。

注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。

[編集] あらすじ

世界的な怪盗ルパン三世と相棒の次元大介は、モナコの国営カジノの大金庫から売上金を盗み出すことに成功し、追っ手をかわして車で逃走していた。車内で札束に埋もれた二人[1]は浮かれていたが、ふと盗んだ札束に目を落としたルパンはあることに気がつく。 その札はすべて精巧に作られた「ゴート札」と呼ばれる偽札だった。そうと分かるや否や、二人は札束を惜しげもなく道路に撒き散らす[2]。ゴート札とは史上最も精巧な出来を誇る幻の偽札で、『本物以上』とまで呼ばれた代物であり、ヨーロッパにある独立国家カリオストロ公国に絡んだものであった。そこでルパンは、次の仕事としてゴート札の秘密を暴くことを選ぶ。

二人は身元を偽って一見のどかな小国カリオストロ公国に入国するがタイヤのパンクで立ち往生。次元がタイヤを修理していると、ウェディングドレスを身につけ車に乗った少女が悪漢に追われているのを目撃。そこで二人も車で追跡し、見事悪漢を撃退する。崖から落ちそうになった少女を助けたものの、ゴート文字の入った指輪を残し少女は別の連中に連れ去られた。その後少女の名はカリオストロ公国大公家の継承者、クラリス・ド・カリオストロ(クラリス姫)であることが判明。現在の公国は大公の急逝に伴い、ラサール・ド・カリオストロ伯爵を摂政としてたてており、大公位は空位となっていた。

カリオストロ公国の実質的な統治者となっている伯爵はクラリスを妻として迎えることで大公位を得て、公国を名実共に手に入れ、公国の独裁を狙っていた。再びとらわれの身となったクラリスは、伯爵の居城であるカリオストロ城に閉じ込められてしまう。ルパンは彼女を救出するため、石川五ヱ門を呼び寄せるが、ルパンが伯爵の元へ送った予告状のことを聞きつけた銭形警部も、警官隊(なぜか埼玉県警察の機動隊)を引き連れてやってくる。

すでに召使いとして城内に潜入していた峰不二子も含めて、ルパンファミリーが全員集合。カリオストロ城を舞台に、クラリス姫の救出とゴート札の謎をめぐって大混戦が展開される…。

[編集] スタッフ

* 原作:モンキー・パンチ
* プロデューサー:片山哲生

* 脚本:宮崎駿、山崎晴哉
* 作画監督:大塚康生
* 美術:小林七郎
* 撮影:高橋宏固
* 編集:鶴渕充寿

* 音楽:大野雄二
* 選曲:鈴木清司
* 録音:加藤敏

* 製作担当:斎藤壽男
* 製作進行:吉田力雄、柳内一彦、岩田幹宏
* 製作協力:テレコムアニメーションフィルム
* 助監督:吉田しげつぐ

* 監督:宮崎駿

[編集] 声の出演

* ルパン三世:山田康雄
* 次元大介:小林清志
* 峰不二子:増山江威子
* 石川五ェ門:井上真樹夫
* 銭形警部:納谷悟朗
* クラリス(クラリス・ド・カリオストロ):島本須美
* カリオストロ伯爵(ラサール・ド・カリオストロ):石田太郎
* ジョドー:永井一郎
* 庭師の老人:宮内幸平
* グスタフ:常泉忠通
* 大司教:梓欽造
* 埼玉県警機動隊隊長:松田重治
* 食堂のウェイトレス:山岡葉子
* 国際刑事警察機構(インターポール)長官:平林尚三
* 日本代表:野島昭生
* イギリス代表:阪脩
* 西ドイツ代表:寺島幹夫
* ソ連代表:鎗田順吉
* 召し使い:緑川稔
* 印刷主任:加藤正之
* 大司教の運転手:峰恵研

[編集] 評価

興行成績
本作は、配給収入10 億円の成功を収めた前作より下回り、満足の行く成果をあげられなかった。これは、「前宣伝として、前年に公開された劇場映画第一作『ルパン三世ルパンVS複製人間』をテレビ放送したことが裏目に出た」、「公開当時は映画館へアニメーション映画を見に行くのはアニメファンだけだった」、「『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』などSFアニメ全盛時代であったため、アニメファンが古典的冒険活劇を期待していなかった」、「当時の『ルパン三世』ファンの多くは、TV第2シリーズでコミカルな演技をしていた赤ルパンを支持していたのであり、宮崎による復古調の緑ルパンに距離感を抱く人が少なくなかった」などの原因が考えられる。
不振のもう一つの要因としては、宣伝方針の転換が考えられる。ヒットした前作『ルパンVS複製人間』で、東宝宣伝部は『007シリーズ』を意識し、ポスターや本編にヌードが登場するなど、アダルト層を意識した宣伝方針を採ったが、予想に反して観客層は子供が中心だった。そのため、劇場でしか見られないアダルトな雰囲気の『ルパン三世』に惹かれて足を運んだファンも多かったにも拘らず、本作では最初から子供向けの宣伝方針とする軌道修正が図られた。ターゲット層の違いは、『ルパンVS複製人間』の伴映作がアガサ・クリスティ原作の洋画『ナイル殺人事件』だったのに対して、本作の場合は香港のコメディー映画『Mr.Boo! ギャンブル大将』だったことにも表れている。
作品評価
作品としての評価は公開当時から関係者の間では高く、アニメーション賞の権威とされる大藤信郎賞(商業アニメ作品が受賞することが少なかった)を受賞している。東映長編アニメ映画を彷彿させる造りに往年のマニアたちは絶賛する。同時代の関係者からは、宮崎の演出手法やレイアウト、場面設計に注目が集まり、当時出された絵コンテ集はアニメ制作現場での教科書として愛用されていた。
公開当時は『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』、『機動戦士ガンダム』の全盛期でもあり、多くのアニメマニアの間では宮崎や『カリオストロの城』の知名度は高くなかった。ただ、テレビでの放映が毎年のように繰り返されたこと、地方の学校や集会所、ファンの集まりなどでフイルムが借り出されて上映会が開催されたこと、そしてアニメージュ誌が1981年に宮崎の大特集をして積極的に取り上げたことで、次第に本作はアニメマニア、そして一般層の注目を集め出した。その後、同誌のアニメグランプリの歴代作品部門で1位を連続受賞したり、情報雑誌「ぴあ」の年間アワード企画「もあてん(もう一度見たい過去作品ランキング)」で二年連続ベストワンに輝くようになる。
その一方、本作への批判がないわけでもなかった。当時、一部のルパン三世のファンから、原作や第2シリーズのイメージと異なる宮崎のルパン解釈へ不満の声、前作映画やTV第2シリーズを推す声があったのも事実である。また、一部のマニアたちが『カリオストロの城』を手放しで褒め称えるのに対し、それを揶揄する意見もあって、アニメ誌上で論争が巻き起こったりもしている。その中心となったのがアマチュア時代の唐沢俊一である。
一方、吾妻ひでおとその周辺のスタッフが、漫画同人誌『シベール』を作成して草創期のコミックマーケットで販売していた。そこで本作のヒロインのクラリスがロリコンキャラクターとして取り上げられた。今日のロリコン漫画、男性向け漫画同人誌の走りである。映画内のルパンの台詞「妬かない、妬かない、ロリコン伯爵」と共に、今日に至るオタク文化の一側面を作り出したとも言える。
その後、スタジオジブリ作品礼賛の陰に隠れてしまった感は否めないが、日テレの金曜ロードショーで数年に一度は放映されており、今日でも高視聴率を記録している。以前は時計塔での会話や大司教への変装シーンなど7分間カットしたバージョンが放映されることが多く、ファンの不満のタネであった。「風の谷のナウシカ」のヒットにより宮崎駿の知名度が上がった1984年の水曜ロードショーで、ようやくノーカットでの放送が実現。このときには宮崎駿がスタジオに招かれ、解説の愛川欽也と対談を行っている。
宮崎自身の評価
本作に「鬱屈がある」とは公開当初からアニメ誌やムック誌で発言していた。『風の谷のナウシカ』公開時の『コミックボックス』(1984年5・6月号)の対談では、第二次世界大戦でモスクワを前にして撤退せざるを得なかったドイツ軍を例に挙げて「独ソ戦のドイツみたいだといつも思うんですよ」と軍事オタクらしい独特の比喩をしている。制作スケジュールの問題で、本作のDパートでは仕上げに手間がかからないよう絵コンテを切ったともしている。ルパンがクラリスを誘拐した後、オートジャイロによる空中戦も予定されていたが、本編では割愛された。その画像は映画公開前に東京ムービーの宣伝材料として配られ、後にムック誌などにも収録されている。その名残は共同脚本名義の山崎晴哉によって書かれたノベライズ版にもある。
原作者の評価
原作者のモンキー・パンチによれば、日本国外のルパン三世ファンの95%は「ファンになったきっかけ」として本作を挙げるという。「ルパン三世は義賊ではない」と考える彼は、映画としての素晴らしさを認めながらも、この作品に対し複雑な感情を抱いているようである。
とはいえ、「銭形は凄腕の刑事である」というのが原作の設定、作者のイメージであり、「銭形警部の解釈は宮崎さんの解釈が一番正しい」とも語っている。これは、アニメなどにおいて銭形が段々ドジでマヌケな引き立て役に成り下がっていた中、今作ではかなり鋭く描かれていたためである。なお、作者自身も原作では銭形が醜態を晒す様を時折描いているが、自身が監督を務めた劇場映画第6作『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』では、銭形を凄腕の刑事として描いている。
海外での評価
海外の日本アニメファンの間では熱狂的な人気を誇っている。映画監督スティーブン・スピルバーグはカンヌ国際映画祭で本作品を見て「史上最高の冒険活劇の一つ」と絶賛し、特に冒頭のカーチェイスを「映画史上最も完璧なカーチェイス」と評したといわれている[3]。
またこのシーンは、イギリスの人気スパイ映画『007』の製作スタッフの眼にも止まった。これをヒントに1981年公開のシリーズ第12作『007 ユア・アイズ・オンリー』の劇中のカーアクションシーンは製作されたという。このシーンで主人公のジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)とヒロイン(キャロル・ブーケ)が逃走に使用した車はクラリスの物と同じシトロエン・2CVである。

[編集] エピソード

山田康雄のエピソード
宮崎は、アフレコの際にルパンを演じている山田康雄に、おちゃらけたセリフを控えて、クリント・イーストウッドの時のような抑えた声での演技をするよう指示したが、ルパンの人気は自分で持っているという自負心のあった山田は「今さらごちゃごちゃ言われたくねえよ」などと横柄な態度で吐き捨てたという。しかし、試写を見終わった山田は、そのレベルの高さに態度が一変、「先ほどは失礼なことを申しました。どんな注文でもして下さい」と宮崎に頭を下げたという。
後にTVスペシャル第五弾『ルパン三世 ルパン暗殺指令』を監督したおおすみ正秋が同じ指示をした際、山田は「宮崎さんにも同じことを言われたよ」と嬉しそうに語ったという(大塚康生著『作画汗まみれ』より)。
TV第2シリーズに不満のあった山田は、本作の作画や、コミカルな面だけではないルパン像に感動したらしく、「こういうのを映画と言うんだ」とも後に語っている。また、「とにかく決定的に面白い。オープニングも話の展開も信じられないくらいだ。構成といい、絵といい、とても質の高いもので、こんなの見たこと無い。各所でギャグがちりばめられており、じつに楽しい」と絶賛し、「宮崎さん、大塚さん、バンザイだ」との讃辞も贈っている。
作中の時代設定
作中に登場する新聞(ルモンド)の切り抜きによると、この物語は1968年の出来事である。これは宮崎駿の絵コンテでもはっきりと書かれており、その意図はともかく宮崎駿の決定であると推測される。しかし、この作品が1968年の出来事とすれば、次作『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』とは設定が大いに矛盾することになる。また、作中で度々食されているカップ麺の市販化は1971年で、1968年には存在していない。
歳をとったルパン
宮崎はこの「善人ルパン」を描くため、ルパンの年齢をそれまでのイメージよりかなり高く設定し、「ファンの知っているルパンよりも人生経験を積んできたのだから、当然これまでのイメージと異なっていても不思議ではない」とその描写に説得力を与えようとしている。その最も具体的な例として、物語の中盤あたりから、16歳のクラリスがルパンを「おじさま」と呼んでいることが挙げられる。ルパンを演じた山田も、この作品でのルパンについての印象を「歳をとったおじさんルパン」という認識を持って、演技したことを示唆している。

[編集] 本作品の魅力

古典からの下敷き
本作品は、『ゼンダ城の虜』をはじめとする多くの古典的冒険活劇を下敷きにした、「捕らわれの姫君を救出する」オーソドックスな騎士物語である。また、宮崎監督をアニメに導いたとも言われる長編アニメの古典『王と鳥』を連想させるシーンなども、本作では多く見られる。『アニメージュ』のインタビューでは、『緑の目の令嬢』に出てくる湖とローマ遺跡、そして『幽霊塔』の時計塔や地下室をモチーフに発想したと答えている。
絵コンテ
独特の重力感を伴う躍動アクションや建築物の崩壊、車・メカ・武器・水の透明感・モブシーン・建物の構造を利用して垂直方向への移動と、ドラマの進行を重ね合わせた演出など、宮崎監督の持ち味を十分に生かした作品である。登場人物の性格描写も、宮崎監督の解釈の下で独自の肉付けがされている。
写実的な設定
劇中に登場する車や銃器類は、ほとんどが実在のものであり、宮崎駿や大塚康生の趣味が生かされている(ただし、1970年代当時の「最新型」はほとんどない)。1970年代の日本の作品としてはほとんど唯一といってよいほど、支配階級であるカリオストロ伯爵のヨーロッパ貴族としての生活ぶりや振る舞いが、本物らしくリアルに描かれている。
ヒロインの魅力
作中に登場するヒロインのクラリス姫は、宮崎駿の作品に登場するヒロインの典型とされる。清楚でいじらしく、主人公による救出を待つ受動的な立場にありながら、自ら積極的に行動する気丈さと、勇気も持ち合わせる。クラリスを演じた島本須美は宮崎駿の次回作『風の谷のナウシカ』でも、ヒロインのナウシカを演じている。
銭形のセリフ
ラストシーンでの、クラリスへの銭形の台詞は、ルパン三世シリーズ史上&アニメ史上でも屈指の名台詞として語られている。「結局ルパンは全く何も盗まなかった、と思いきや、実はとんでもないものを盗んでいった」と鋭く指摘しているこの台詞のシーンはテレビでも何度も紹介され、この映画の各シーンの中でも、相当知名度は高い。公開当時は、「中年の心理をよくぞ描いた」等の話題も呼んだ。

[編集] ルブラン由来の物

この作品は、モンキー・パンチによる漫画作品『ルパン三世』の作品世界、登場人物で、登場人物の名前をモーリス・ルブランの『怪盗アルセーヌ・ルパン』シリーズから拝借しつつ、宮崎駿独自の作品世界に見事に換骨奪胎した作品であるといえる[要出典]。

登場人物名で特徴的なのが「カリオストロ」と「クラリス」である。 カリオストロはルパンの仇敵の名前『カリオストロ伯爵夫人』から来ており、クラリスは同作品に登場する、作中でルパンと結婚し産まれた男の子をカリオストロ伯爵夫人に誘拐されてしまうルパンの恋人の名前である。ちなみにクラリスはカリオストロ家の人物ではなく、デティーグ男爵の令嬢である。なお誘拐された息子は二十数年後を描いた作品『カリオストロの復讐』で好青年になって再登場する。ルパン三世の初期の研究家の間では、「ルパン三世はこのクラリスの子の息子ではないか」という説もささやかれた[4]。

なおこの本作クライマックスの、湖の底からローマの遺跡が現れる場面は、『緑の目の令嬢』(『青い目の少女』とも)にそっくりのシーンがあるが、時計塔がトリガーではない。また作品中で何度も水が満ちたり抜かれたりしており、本作のように一度抜くと次に湖水で隠すのが大変なようにはなっていない。時計塔のモチーフは、涙香・乱歩の『幽霊塔』から来ている。

[編集] 旧ルパンからのアイデア

この作品はTV第1シリーズの集大成と呼んでも良いもので、旧ルパンのアイデアが多く採用されている。

服装、愛車
当時赤ジャケットの新ルパンが放送されていたにもかかわらず旧ルパンの緑ジャケットで登場する。フィアット500も旧ルパン後半から登場したもの。(前作で登場したベンツSSKは回想シーンのみでの登場。)旧ルパンのエンディングで不二子がバイクに乗るシーンがあるが、それにならって映画での不二子の移動手段は全てバイクである。
偽札
偽札をばらまいて捨ててしまうシーンや、「かつて本物以上と言われた…」というセリフが、第10話「ニセ札つくりを狙え!」でも登場している。
サーチライト
ショルダーホルスターを締めた黒のカバーオール姿でサーチライトに追われるシーン。初期オープニングや第4話「脱獄のチャンスは一度」に代表される、ルパン三世の典型的なイメージを描いている。
TVスタッフに偽装
第18話「美人コンテストをマークせよ!」で、ルパンたちがTV局レポーターに偽装して会場に侵入している。乱入者(五ェ門)が大暴れするハプニングでテレビに秘密が映ってしまうのを狙うところなど作戦も同じ。
大時計
時計塔の凝ったメカが第10話「ニセ札つくりを狙え!」で登場している。大時計の針が侵入者を襲うシーンもある。ラストでやはり時計塔は破壊されてしまうが、崩壊前に時計のメカが突然激しく動き出す演出など共通点が多い。
ラストシーン
銭形とヒロインが逃げるルパンを見送るシーンは第11話「7番目の橋が落ちるとき」を髣髴とさせる。

[編集] 登場する武器・乗り物

[編集] 乗り物

自動車の中には、実物には存在するドアミラーが描かれていないものが多い。

スーパーチャージャーつきフィアット 500
→ルパンたちの愛車。実際には大塚康生の愛車だった。
シトロエン・2CV
→クラリスが運転する車。実際には宮崎駿の愛車だった。
ハンバー スーパースナイプ(Humber Super Snipe)
→クラリスを追うカリオストロ伯爵の手下が運転していた車。
オートジャイロ
→カリオストロ伯爵とルパン、さらに映画の後半で銭形も操縦(その後オートジャイロは木に突っ込み大破)。作中でオートジャイロと呼ばれてはいるが、水平ローターの先端にエンジンが付いていて垂直離陸能力があるなど実際にはヘリコプターに分類されるべき機体である(実在のものではない)。
ブルーバード410型
→銭形警部のパトカー。初登場時からカリオストロ城に突入するまでは右ハンドルだったが、演出上の都合からかエンディング前には左ハンドルに変わっている。ナンバーは「埼玉88た110」
CMP C60L及びF60L
→銭形突撃隊用の軍用トラック。

[編集] 武器

銃器のディテールは当時としては正確だが、演出やディフォルメも多い(特に、排莢アクションはほとんど省略されている)。

シモノフPTRS1941
素人が撃つと肩の骨が砕けるといわれるほど高威力高反動な旧ソ連製の対戦車ライフル。この武器は数世代も前の兵器であることから、不正規なルートから調達したものと思われる。マグナムすら効かないアーマーを着たカゲに対し、最終決戦で次元が使用していた。しかし、この巨銃でもアーマーは貫通できず吹き飛ばされるだけだった。またそれだけ強靭で、なおかつ音もなく俊敏に動けるアーマーなど、当然実在しない。
S&W M27 .357マグナム 4インチ
今作の次元はテレビアニメ版で愛用しているS&W M19ではなく、大型のNフレームを採用したことで.357マグナム弾の衝撃にも高い耐久性を誇るS&W M27を使用。序盤パンク防止タイヤを装備した車を止めるためボトルネックケースの徹甲弾を使うシーンがあるが、実際には使用できない。
ルガー1900、ウージー
不二子が、他の作品で使用しているブローニングの代わりに使用。設定資料でグリップ下のストックを装着するリンゲージがないことからスイスルガーと判別できる。これは当時の銃器雑誌月刊『GUN』のスイスルガーのレポート中で「不二子に使って欲しい」という記述があり、スタッフがこのリクエストに応えたものと推測される。
 ウージーは、木製の固定ストックを装着しているので、最初期型と思われる(当初は木製であったが、すぐに鋼製折りたたみ式に置き換えられた)
ラインメタル/マウザー・ヴェルケMG34機関銃
伯爵がジョドーにオートジャイロごとルパンを撃たせた機関銃。ドラム給弾式(正確にはベルト給弾式で、中空のドラムにただ詰め込んであるだけ。作画の手間を省くためと思われる)。城の窓に設置されている。
シュパーギンPPSh-41短機関銃
冒頭でクラリスを追っていた男たち、及び水兵たちが使用。
エルマ・ベルケMP40短機関銃
カゲたちが使用。
ワルサーP38
TV第1シリーズのエンディング・テーマでも歌われる、ルパンの愛用拳銃。だが、今作では使おうとしてポケットから出した際、銃口がポケットに引っかかっている間に警備装置のレーザーで溶かされ、全く活躍していない。
M24型柄付手榴弾
冒頭のカーチェイスでクラリスを追う男たちがルパンのフィアットに投擲。

[編集] VHS・DVD

[編集] 日本国内

* 当初のソフト化では、VHSカセット版ではテレビ放送用にカットされたものが使用され[5]、ルパンが塔から塔に飛び移るシーンなどがなくなっている[6]。なおβカセット版及びLD版は発売当初よりノーカットだった[7]。
* 2003年に発売された「劇場版ルパン三世 DVD Limited BOX」でも他の劇場映画とは一緒に収められておらず、単品DVD自体は「ジブリがいっぱい COLLECTION スペシャル」ブランドで発売されている。2枚組みで、英語版(後述)や、絵コンテ、当時の予告編などの特典が収録されている。
* 2008年現在、単体DVDは生産を中止しているが、2007年3月に発売されたDVDBOX『LUPIN THE BOX -TV&the Movie-』に収録されている。

[編集] 日本国外

* 北米では、1992年にStreamline Picturesが『The Castle of Cagliostro』のタイトルで翻訳し、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーから発売された(Streamline Picturesは、ルパンシリーズでは『ルパン対複製人間』『死の翼アルバトロス』『さらば愛しきルパンよ』も翻訳している)。イギリスとオーストラリアではこのStreamline Picturesの吹き替え版を用いてManga Enternatinmentが発売した。しかし、この翻訳はとても原作に忠実と言えるものではなく、殆ど元の台詞の原形をとどめていないものであった[8]。
* 2000年にManga Entertainmentは翻訳をやり直し、原作により忠実な内容のDVDを発売した。しかし、2001年に発売された日本版DVDには、何故か Manga版ではなく、ひどく改編されたStreamline版の吹き替えが収録されている。Mangaは2006年8月に、特別版DVDを発売。吹き替えは2000年の版と同じ。レコードのようにA面とB面があり、一枚のディスクの裏表両方が記録面となっている。A面には本編が、B面には大塚康夫へのインタビューなどの特典映像が収録されている。
* フランスでManga Entertainmentが発売したDVDは、Streamline Picturesの英語版をフランス語に訳したものであり、英語と同じく原作の台詞は殆ど原形をとどめていない。

[編集] その他

* となりのトトロ、パンダコパンダなど他の作品と同様に、昔から宮崎の勤務地や住居に近い狭山丘陵がモデルの一つとなっている。堰で2つに仕切られた特徴的な湖(多摩湖、狭山湖)は広さや風景も作中と類似であり、何故か警視庁(銭形警部)だけでなく埼玉県警(機動隊)も登場する事も説明できる。なお、作中の設定からリヒテンシュタイン公国もモデルの一つとみなされる。
* 冒頭のカジノ襲撃シーンにて、ボンネットにルパンの犯行声明のメッセージが貼られているが、最初のシーンでは「ごくろうさま」となっているのに、次にアップになるシーンでは「ごくろうさん」に変わっている。作画の際に間違えたと見られる。
* DVD化に際し、オープニング終了付近でフィアットに乗り込む次元の足がはみ出すミスが修正された。しかし、日テレの金曜ロードショウ枠で放送されたHDリマスタリング版では再び復活している(ハイビジョン用にテレシネをやり直したためと思われる)。
* エンディング付近の崩れる時計塔を銭形やグスタフらが呆然と見つめる場面で、宮崎が監督を務めた『未来少年コナン』のコナンが登場している。
* 宮崎本人はこの作品を「この作品はルパン1stシリーズや、東映時代にやってきたことの大棚ざらえで、だから昔からぼくの仕事を見てた人は失望したというのはよくわかるんです。汚れきった中年のおじさんを使って、新鮮なハッとする作品は作れないですよ。こういうことは2度とできないなって、思ってやりました」と語っている(自著『出発点』より)。
* 「恐いおじさんがいっぱい来たからね」というのは、ICPO(国際刑事警察機構)派遣の、ヨーロッパ各国の「国家憲兵」介入部隊だと思われる。実際、フランス国家憲兵隊には「国家憲兵隊空挺介入中隊」、イタリア・カラビニエリには「特殊介入部隊」、ドイツ・国境警備隊(現連邦警察局)には「GSG-9」などの空挺作戦能力を持つ介入部隊が存在する(しかし、これらは1970年代から80年代にかけて、イスラム過激派・極左過激派などによるテロなどを受けて創隊されたもので、この映画の舞台となっている60年代後半にはまだ存在していない。当時は上記の「カップラーメン」がまだ発売されていなかったり、作品導入部で登場する「大出力小型レーザー」がまだ実用化されていなかったのと同じで、あまり設定に厳密性は無いものと思われる)。

[編集] 賞歴

* 第18回毎日映画コンクール・大藤信郎賞受賞
* キネマ旬報創刊85周年オールタイムベスト・テン アニメーション部門1位
* アニメージュアニメグランプリ歴代ベストワン作品1位(1982年~1984年)、2位(1980年下半期、1981年、1985年~1986年)
* 日本のメディア芸術100選アニメーション部門選出(専門家選出4位、一般選出5位)

[編集] 関連作品

『ルパン三世 カリオストロの城』山崎晴哉/集英社、1982年(単行本)、2000年(文庫)[ISBN 4086105101]
初期シナリオに基づく小説版。
『CLIFF HANGAR』スターンエレクトロニクス、1983年
本作および前作の映像を利用したレーザーディスクゲーム。
『ルパン三世 カリオストロの城』movic/東宝、1985年
往年のパソコンPC8801他用のロールプレイングゲーム。ルパン/次元/五右衛門/銭形の登場人物を一人選びカリオストロ城に潜入する。
当時の風潮を受けて難易度は非常に高く、しかも一度死ぬとセーブデータが削除されるなどシビアな展開が売りだった。
『ルパン三世 カリオストロの城』東宝、1987年
MSX用のアクションゲーム。比較的原作に忠実なつくりとなっている
『ルパン三世 パンドラの遺産』ナムコ、1987年
ファミリーコンピュータ用アクションゲーム。本作の後日談。
『LUPIN III CATSLE OF CAGLIOSTRO ルパン三世 カリオストロの城』企画/製作ORG、ゲームプロデューサー/大貫昌幸、ゲームデザイナー/小島 裕貴子、発売/ツクダホビー、1987年
テーブルトークRPGのワープスシステムを採用。
『ルパン三世 カリオストロの城 - 再会 -』アスミック、1997年
プレイステーション用アドベンチャーゲーム。映画の設定資料やムービーも収録されている。
後日談もしくは外伝的なゲーム。謎を解きながらカリオストロ城のもう一つの秘密に迫る。